入賞者インタビュー:東京都市大学 堤さん・岡村さん・若月さん・深代さん

進化計算コンペティション 2024 〜難易度と面白さを考慮したナンプレ自動生成問題への挑戦〜

公開日:

OptHub 編集部

対象コンペ: 進化計算コンペティション 2024
受賞: 単目的部門 1 位
所属: 東京都市大学 大谷研究室

入賞者インタビュー:東京都市大学 堤さん・岡村さん・若月さん・深代さん

コンペ概要:ナンプレ自動作成問題とは?

進化計算コンペティションは、産業界の実課題をテーマに、最適化手法の実力を競い合う大会です。2024 年の課題のひとつは「難易度と面白さを考慮したナンプレの自動作成問題」。指定されたルールに従ってナンプレ問題を自動生成し、「ヤマ」となる局面や連鎖的に数字が確定する場面を盛り込むことで、解く楽しさと難しさの両立が求められました。

チーム結成の背景

この課題に挑んだのは、東京都市大学 大谷研究室の 4 名で構成されるチーム「penguin」。メンバーはそれぞれ、自然言語処理、アノテーション自動化、連続値最適化、共生進化と異なる研究テーマを持ち、専門性が多様なチームです。

きっかけは、2023 年大会で入賞した堤さんと岡村さんが中心となり、新たなメンバーを募集したこと。そこに若月さんと深代さんが加わり、世代を超えたチームが編成されました。

堤さん(修士 2 年)と岡村さん(学部 4 年)は論文執筆を抱える多忙な中での挑戦。プロジェクトマネージャーは若月さんが務め、チームを牽引しました。

最初のアプローチ

若月さんが最初に着手したのは、「最も難易度の高い手筋を初手に使わせるアルゴリズム」。初手に高難易度な手筋を用いることで、緊張感のある問題を生成するという思想が特徴的でした。

続いて、ナンプレに精通する深代さんが、「予約」や「井桁」などの手筋を解析し、精度の高いソルバーを実装。シミュレータの質を高める取り組みが進みます。

また、岡村さんは重複解の排除に注力し、探索空間の肥大化を抑制。計算効率の向上に大きく貢献しました。

苦戦とブレイクスルー

最大の壁となったのは、初期盤面の設計。高難易度手筋を初手に強制する方針では、生成される盤面のバリエーションが 4 通り程度に限定され、探索の幅が極端に狭くなる問題が生じました。

そこで方針を緩和し、「高難易度手筋が初手の手筋候補に含まれており、かつ候補数が一定以下であれば、その後に難易度の高い展開につながる」と考えるよう変更。これが大きなブレイクスルーとなります。

最終段階では、堤さんが担当した優良解の近傍探索が成果を発揮し、特に sop-2 問題のスコア向上に貢献しました。

得られた知見と成長

最大の学びは「チームでの協力」だったといいます。ディスカッションはもちろん、実装や解答送信の分担を通じて、期間中も深く問題に向き合うことができました。

また、手法そのものだけでなく、評価方法そのものを問い直す視点を得たことも大きな収穫。産業界の課題に向き合う中で、単なる最適化だけでなく、問題設定や定式化の妥当性を見極める力の重要性を実感したそうです。

ナンプレという親しみやすい題材だったこともあり、家族や友人にも説明しやすく、最適化技術の社会的意義を再確認する機会にもなったといいます。

さらなる挑戦と未来への展望

コンペ終了後、メンバーからは「進化計算手法を活用し、よりエレガントな解法にも挑戦したかった」との声も。実課題ならではの難しさと面白さを体感し、自身の研究テーマとの接続点を見つめ直すきっかけになったようです。

ポスター発表では、多目的部門 1 位となった t-um チームの工夫に驚かされ、学びを得る場面もありました。一方で、t-um チームの方からも、penguin チームによる初期盤面設計の工夫が高く評価されたとのこと。単目的・多目的の枠を超えて、互いに学び合う印象的な交流となりました。

プロジェクトマネージャーの若月さんは、ナンプレという身近な題材を通じて、社会実装への関心が高まったと語ります。また、ナンプレの難易度定式化そのものを問い直す議論ができたことも、研究では得がたい貴重な経験だったと振り返りました。今後は、実課題とベンチマーク課題の双方に取り組みながら、自身の研究の立ち位置を見定めていきたいとのことです。

発起人の堤さんは、最適化を適用できる分野にはまだ広がりの余地があると語ります。分野横断的に専門家へ認知されることで、最適化技術の需要はさらに高まっていくはずだと、今後の発展に期待を寄せました。

編集後記

実課題ならではの難しさに果敢に挑み、試行錯誤を重ねながら成果を挙げたチーム penguin。チーム内の密な連携と、産業課題への真摯な姿勢が印象的な取り組みでした。今後のさらなる活躍を楽しみにしています。

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