入賞者インタビュー:三菱電機 梅田さん

進化計算コンペティション 2024 〜難易度と面白さを考慮したナンプレ自動生成問題への挑戦〜

公開日:

OptHub 編集部

対象コンペ: 進化計算コンペティション 2024
受賞: 多目的部門 1 位
所属: 三菱電機株式会社

入賞者インタビュー:三菱電機 梅田さん

コンペ概要

進化計算コンペティションは、産業界の実課題をテーマに、最適化手法の実力を競い合う大会です。2024 年の課題のひとつは「難易度と面白さを考慮したナンプレの自動作成問題」。指定されたルールに従ってナンプレ問題を自動生成し、「ヤマ」となる局面や連鎖的に数字が確定する場面を盛り込むことで、解く楽しさと難しさの両立が求められました。

参加のきっかけとバックグラウンド

t-um チームとしてこの課題に挑んだのは、三菱電機株式会社で最適化技術の開発に携わる梅田さん。社内の業務課題に対して最適化手法を活用し、効率的な解決を図る取り組みを行っています。

大学ではコンピュータビジョンを専攻していたが、業務の中で最適化技術に関心を持ち、自ら希望して現在の部署へ異動。今回のコンペは、部署が進化計算シンポジウムで成果を発表するにあたり、その一環として自発的に参加したものでした。

取り組みの方針と技術的チャレンジ

まず取り組んだのは、ローカル環境でのシミュレータの構築。サーバによる評価には回数制限があったため、精度の高い手元評価環境が不可欠でした。サーバのスコアに近い評価ができるよう調整を重ね、実装の基盤を整えました。

初期解の作成にも工夫を凝らしました。完成されたナンプレ盤面からヒントを抜き出す基本的な枠組みに進化計算を取り入れ、さらに盤面の回転・転置・行や列の入れ替えを加えることで、1 つの初期解から 32 通りの多様なパターンを生成し、探索の幅を広げました。

モデル化とブレイクスルー

ローカルの評価とサーバのスコアに大きな差が出る状況を受け、LightGBM を用いたモデル化に取り組みました。自作シミュレータとサーバ評価器の差分を学習し、評価指標である f1 スコアの予測値が高い解を選んで送信する戦略を構築。この方針転換が、大きなブレイクスルーにつながったと振り返ります。

得られた知見と今後へのヒント

全ての初期解を一律に拡張していたが、ポスター発表での単目的部門 1 位 penguin チームの発表を通じて、評価の良い解を起点に深掘りする戦略のほうが効果的だった可能性に気づいたと話します。単目的・多目的の枠を超えて、学び合う印象的な交流となったとも語ってくれました。

また、作成したシミュレータとサーバ評価の相関図は他の参加者にも好評で、技術的な知見を共有する場としても有意義な発表になったといいます。

実課題と最適化への想い

学術の課題は構造や評価関数が可視化しやすい一方で、実課題では評価関数がブラックボックスになりやすく、最適化の有効性を判断するところから始まることが多いと語ります。

それでも、最適化はあらゆる分野に応用可能な技術であり、現場で自然に使えるようなかたちに落とし込み、社会に役立てていきたいという思いを持って取り組んでいると話しました。

これから挑戦する人へ

順位やスコアがリアルタイムで見えて、ゲームのような感覚で楽しめるのがこのコンペの魅力。初心者でも取り組みやすく、やりこみ要素もあるので、興味があればぜひ挑戦してみてほしいと語ります。

編集後記

自らの興味をきっかけに最適化の世界へ踏み込み、実務に根ざした技術力で進化計算コンペティションに挑んだ梅田さん。ローカル評価環境の構築、学習モデルによる近似、初期解生成と探索戦略の工夫など、限られたリソースの中で成果を導き出す姿勢が印象的でした。今後のさらなる活躍が楽しみです。

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