主催者インタビュー:マツダ 小平さん
進化計算コンペティション 2017 〜複数車種の同時設計問題〜
公開日:
OptHub 編集部

今回は、2017年進化計算コンペティションにて出題された「複数車種の同時設計問題」をテーマに、マツダの小平さんにインタビューを行いました。小平さんには、コンペティション開催の背景や目的、問題設定、そしてその成果について詳しくお話しいただきました。
複数車種の同時設計問題について
2017年当時、マツダでは、少ないリソースで多くの商品を効率的に開発・生産し、お客様に届けることが重要な課題となっていました。そのため、製造コストを抑えながら複数車種を設計する必要がありました。
この課題に対し、マツダは「複数車種の同時設計問題」を最適化問題として定式化しました。具体的には、3種類の自動車の総質量を最小化し、共通部品の数を最大化するという目標を設定しました。問題には衝突安全性を含む54個の制約が含まれており、実際の課題に非常に近い形で構築されています。
コンペティション開催の動機
産業界が抱える課題と学術研究との間にギャップがあるという問題意識から、このコンペティションが開催されました。学術研究では、産業界の実際の課題よりも人工的な問題設定に取り組むことが多く、研究者や学生が現実的な課題に触れる機会が少ない状況でした。このコンペティションを通じて、産業界の課題がどのように定式化されるかを理解し、研究者や学生がより実践的な課題解決に貢献するきっかけになることを期待していました。
問題作成の難しさ
最も難しかったのは、機密情報を伏せながらリアルな課題を再現することでした。参加者には、現場のエンジニアが直面するような多くの制約を含む複雑な問題に挑戦してもらいたいと考えていました。実際の課題は学術研究で扱われるものよりも制約が多く、解を見つけることが非常に難しいという現実を伝えたかったのです。そこで、機密情報を含む変数の意味を隠しつつ、課題の特徴をできる限り損なわないよう工夫して問題を設計しました。
コンペティションの成果
コンペティションでは、産業界の実際の課題をリアルに定式化して出題したことで、参加者のアプローチが現場のエンジニアに近いものとなっていた点が印象的でした。最初は制約条件を満たす解を見つけるのに苦戦している様子もありましたが、最終的には参加者が楽しんで取り組んでくれました。製造業界に興味を持つ情報系の学生が少ないという課題がある中、今回のコンペティションを通じて新たな入り口となる可能性を感じました。もし自分が学生の時にこうした実践的な題材に触れていたら、製造業における情報系の役割を早くから認識できたかもしれません。このコンペティションは、製造業における情報系の仕事を知ってもらう良い機会となり、採用活動にも役立つと感じました。
コンペティションの開催を検討している方へ
企業が抱える課題は様々ですが、機密情報の取り扱いは大きな懸念点の一つです。産業界のリアルな問題を反映させながらも、機密情報を伏せて問題を公開するには、専門的な知識が必要です。OptHubのようなプラットフォームを通じて、学会の専門家に相談することをお勧めします。
また、社内で問題公開に対する反対の声が上がることもあるかと思います。例えば、マツダでは、学術界と産業界のギャップを埋めることが最終的に自社のものづくりに役立つと説明し、社内の理解を得ました。しかし、企業ごとに求める成果や目的は異なるため、各社のニーズに合わせた説得が重要です。
おわりに
今回のインタビューでは、2017年進化計算コンペティションで出題された課題について、マツダの小平さんに詳しくお話を伺いました。コンペティションがマツダさんのものづくりを参加者に理解してもらうきっかけとなり、さらに採用活動にも貢献できる可能性を感じていただけたことは、OptHubの運営としても非常に嬉しい成果です。
最後に、OptHubのコンペティションについてご紹介します。OptHubは、国内外の学会と提携し、産学連携を強化することで、産業界のリアルな課題に対する革新的なAIソリューションを発見することを目指しています。このプラットフォームを通じて、学生や研究者は産業界の課題に取り組む機会を得る一方、企業は新たな技術や知見を取り入れることが可能です。機密情報の取り扱いに配慮した問題設計を行っております。詳細やお問い合わせは、OptHubの公式サイトをご覧ください。