主催者インタビュー:大阪工業大学 谷明先生

進化計算コンペティション 2022 〜花火大会の混雑緩和と群集シミュレーション〜

公開日:

OptHub 編集部

対象コンペ: 進化計算コンペティション 2022
所属: 大阪工業大学

主催者インタビュー:大阪工業大学 谷明先生

OptHub株式会社代表取締役の三嶋さんと、大阪工業大学講師の谷明先生にインタビューを行い、2022年のOptHubコンペティションの開催背景や目的、内容、苦労した点、成果、そして今後の展望について詳しくお話を伺いました。

コンペ開催の動機・目的

今回のコンペの題材について、谷明先生はこう説明します。

「今回のコンペの題材は、花火大会における観客の安全確保のための混雑緩和です。特に花火大会終了後の観客の一斉帰宅による混雑、そして群集事故リスクの軽減を目指しています。」

背景には痛ましい過去の事故があると、谷明先生は語ります。

「過去に明石花火大会で発生した痛ましい事故のような事例があり、主催者側も安全対策に力を入れています。しかし、従来の誘導方法は、誘導員さんの経験や感覚に基づいた、ある程度ラフなものに留まっています。」

そこで、谷明先生は進化計算学会の専門性を活かすことを提案しました。

「進化計算学会などが専門とする、より高度な数理最適化アルゴリズムを用いることで、より効果的な誘導方法を確立できないかと考えました。具体的には、計測済みのデータ(交差点のライダー、駅のカメラの映像等)から、花火大会会場からの観客の流出状況を推定し、最適な誘導方法を導き出すことを目指しています。」

三嶋さんは、このコンペの学術的意義についても言及しました。

「過去の研究では、専門的な最適化アルゴリズムを用いた、より効果的な手法があることが示唆されていますが、実際の現場で検証する機会がありませんでした。そこで、コンペを通じて、より実用的な手法を探索・検証することを目的としています。」

問題設定の工夫

今回のコンペの特徴について、谷明先生はこう説明します。

「今回は時系列データを用いた、現実的な問題設定となっており、参加者は時系列データ特有の性質をどのように活用するかが問われています。参加者に提供するデータ量は膨大であるため、その中から適切な情報を選択し、わかりやすく提示する必要がありました。」

コンペ期間の制約についても触れました。

「コンペ期間が1ヶ月強と限られているため、参加者が限られた時間で問題を理解し、取り組みやすいように情報量を調整する必要がありました。」

データの生成方法と評価方法について、谷明先生は次のように説明しました。

「実際に出題したデータは、時間帯ごとの観客数、GPSデータなどを基に、シミュレーションで生成したものです。目的関数の評価には、提供したデータに加えて、非公開のデータも使用されています。ただし、参加者は非公開データの内容については知らされていません。」

コンペ開催中の苦労

コンペ開催中の課題について、谷明先生は率直に語りました。

「問題設定やデータ公開の時期が遅れてしまい、OptHub運営側に迷惑をかけてしまいました。また、問題の難易度設定にも苦労しました。」

技術的な課題についても言及しました。

「初めて、計算負荷の高いシミュレーションをOptHubのサーバーで行うことになり、サーバーが逼迫したり、計算時間が長くなるなどの問題が発生しました。」

三嶋さんは、これらの課題への対応について説明しました。

「OptHub運営側と協力し、サーバーの増強や計算時間の短縮など、様々な対策を講じることで、コンペを円滑に進めることができました。」

コンペの結果と成果

コンペの結果について、谷明先生は次のように評価しています。

「多くの参加者から多様な手法が提案され、時系列データの活用方法について新たな知見を得ることができました。最適化アルゴリズムの専門家の間でも、今回の問題に対する最適なアプローチについて様々な意見があり、コンペを通じて活発な議論が生まれました。」

特に印象的だった解法について、こう付け加えました。

「特に、1位を獲得した中村さんの手法は、時系列データの特性をうまく活用した興味深いものでした。」

三嶋さんは、コンペの成果の実用化可能性について言及しました。

「今回のコンペで得られた成果は、将来的に花火大会における混雑緩和のためのシステムやアプリ開発に役立てられる可能性があります。」

今後の展望

今後の展開について、谷明先生はこう語りました。

「今回のコンペで出題された問題を、MASベンチというオープンソースのベンチマークとして公開し、より多くの人が自由に問題に取り組めるようにする予定です。」

三嶋さんは、OptHubの将来像についてこう述べました。

「将来的には、他の企業や団体が独自の課題を持ち込み、コンペを開催できるようなプラットフォームを目指しています。今回のコンペを通して、数理最適化が社会課題解決に貢献できる可能性を改めて実感しました。今後も、様々な分野の課題を題材としたコンペを開催し、数理最適化の普及と発展に貢献していきたいと考えています。」

主催者からのメッセージ

最後に、三嶋さんと谷明先生は、コンペ開催に興味のある組織や企業へ向けてメッセージを送りました。

「コンペ開催に興味のある組織や企業は、OptHub運営側へ気軽に相談してほしいと思います。OptHub運営側では、問題設定やデータ準備、コンペ期間中の運営サポートなど、様々な支援を行っています。」

谷明先生は、円滑なコンペ運営のコツについて言及しました。

「定期的なミーティングを通じて、主催者と運営側が密に連携することで、スムーズなコンペ開催が可能となります。」

最後に、両氏はこう締めくくりました。

「コンペを通じて、社会課題解決に繋がる新たな知見や手法が生まれることを期待しています。」

このインタビューを通じて、OptHubが単なるコンペティションプラットフォームではなく、実社会の問題解決に数理最適化を活用しようとする意欲的な取り組みであることが改めて明らかになりました。今後の活動にますます注目が集まりそうです。

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